雹国の剣士

33/35
2087人が本棚に入れています
本棚に追加
/689ページ
ニダヴェリール 到着した頃には日が落ち、辺りはすっかり暗くなっていた 一部の出店は閉まり、新たに飲み屋の看板に明かりが灯る、可愛らしい服を来た少女の様な成人女性、また少年の様な成人男性が客引きを行っている、明るい内とはまた別の盛り上がり様だ クエスト終わりの冒険者、交易商人、国の衛兵 丁度それぞれ仕事が終わる時間帯なのか、ビールジョッキを当てる音がそこかしこで聞こえる 「確かパブロだったかな……よし、依頼を消しに行こっか」 シグマが言い、二人は宿屋に向けてゆっくりと歩きだした シフは先の戦闘もあり、身体は重く、酷い脱力感と悪寒に襲われている 小人以外の他種族がごった返し、本番はこれからと言わんばかりにまだまだ賑わう街に反して、彼はもう寝てしまいたい気分であった 宿屋までは、そう遠くはない しかし体に合わせて視界もぐらつく為、人混みにもやや酔ってしまい、宿屋までの道のりは随分と長く感じた 着いた頃には幾分か楽になっていたが、思わず「やっとか」と、シフはこぼした
/689ページ

最初のコメントを投稿しよう!