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王の間から出ると、大きなイスが五つ並んだ広い部屋に出た、イスは木製、大木の幹をくりぬいて作られたそれは、大きさこそあれクッションも装飾の類いも無いシンプルなものだ
話によるとここは謁見の間らしい
シフの知る限りでは王と女王の二人分のイスで十分である、子供ならば区別するため背もたれを小さくする、装飾を少し質素なものにするなど差をつける筈だ、なぜ同じデザインで、大きさも全く同じ椅子が五つもあるのだろうか、と、単純にそう思った彼はフロルに聞いてみた
「……それは四人お母さんがいるから、お父さん一夫多妻なの……」
予想外の回答、知っている神話と違う、確かペルセポネ一人だった記憶があるのだが
「な、なるほど、けど俺より見た目年下っぽいのになんで奥さんが四人もいるんだ………最近は子供っぽい方がモテるんか」
しかし、娘が言うならそうなのだろう
「………ん、それはお父さんに聞いて、私はよく分からないから、じゃあ次は広間まで行くね、とりあえず私の説明はそこまでだから」
正面の巨大な扉を開けて入る、すると沢山ドアやら階段やらがある広間に出た、床にはレッドカーペットが敷き詰めてあり、天井が見上げるほどに高い、
「……ここが広間、ここから客室や入浴場に行けるわ、あとは歩いて覚えて行ってね、……」
「うん、ありがとうな」
「…う、うん、」
フロルは自分の部屋に戻った、改めて見回してみると尋常ではない程広く、全てが大きい、ドアも巨大なものに小さなドアが付いており、どうやら“人以外の客”も良く来るようだ、
沢山の階段、ドアにシフは好奇心をくすぐられる
「さてと、どっから見て回ろっかな」
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