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しかし
「…………えっとぉ」
いざ見て回ると、あまりに広すぎてシフは迷ってしまう、好奇心に任せて階段を下るばかりしていると、いつの間にか薄暗い地下牢の様な場所に出ていた
灯りは最低限道がわかる程度にポツポツと点在し、空気はやや湿気を帯びている
城内の華やかな空間とは対称的に、陰湿な雰囲気であり似つかわしくない場所だ、似たような階段に扉が広い通路の両脇に一定の間隔で設けられている
何も考えずに歩いていれば、この空間で迷ってしまうことは必至だろう
本題に戻る、まさに何も考えずに階段や通った道自体さえも忘れて、今彼は非常に困っていた
「ガォォン……」
「おわっ!!……つ、ついて来てたのか、」
鳴き声に振り返ると竜がついて来ていた、怯えて鳴き声が少し震えている、臭いを辿れば出口もわかりそうなものだが、あくまで竜であり犬ではない
恐らくずっとついてきていて、シフと同じく出口が分からなくなってしまったのだろう
「まぁ、おとなしい竜とは言え………一緒にいた方が心強いな、よしっ、行くぞ!」
相方の存在に気を強くし、彼は竜の頭を撫でる、応じて竜も声に力が戻った
「ガォォオン!」
しかし
「ゥ"ヴァ"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ア"ァ"ァ"ァ"ォ"ォ"オ"ン"オ"ン"!!!!!!!」
竜の鳴き声の直後だった
いきなり“別の何か”の鳴き声が聞こえた、そのとてつもなく強大な鳴き声で足場が揺れ、シフはしりもちをついてしまう
一緒にいる竜は前脚で頭を抱える様に伏せている、よっぽどびっくりしたのだろう
しかし、一体なんの鳴き声なのだろうか
例えようの無い鳴き声、地鳴りを起こすレベルの声量は身体の大きさを暗示していた、
シフは口を開けて目を見開いたまま硬直するしかない
タッタッタッタッ
しばらくすると2、3人くらいの足音が聞こえてきた
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