冥界の主

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階段を上り終えると、またまっすぐな廊下を歩き始めた、ラルシェとルチルは竜の上で色々雑談をして盛り上がっている シフは相変わらずたいまつをもって後ろからついて歩いていた しばらく進むとルチルが曲がってと指示を出す、すると急に入り組んだ廊下に入った 「……これは…迷うはずだ」 思わずシフは呟いた その入り組み様ときたらマップとコンパスが無いとまず素人は出られない、いや、あっても出られないかも知れない 徐々に空間がいびつに歪む、定間隔だった階段と扉は不規則にそこかしこに設けられ、果ては天井に落とし穴の様な穴まで見え始める しかしここを通過した後だった シフが最初に迷っていた廊下、そして今通ってきた廊下をまるで序の口と言わんばかりに更に複雑に入り組んだ広い空間に出た、幾つもの階段と、複数の扉と、鉄格子が絶えずあり、また先程の廊下と比べてもより不規則に増改築を繰り返してあった、例えるなら立体の迷路、あるいはこの空間が何かのオブジェ 確実に密林以上に迷いそうである 歩きながら道順を覚えようとしたが、とてもじゃないが無理な話で、ルチルの凄さが分かる と言うかこの城のメイドは全員凄い様な気さえする、それほどこの廊下は複雑に入り組んでいた ルチルいわく、ヴァルドレット家のメイドになる最初で最大の難関がこの道を覚えることなのだそうで、シグマ自体道順を覚えているかは怪しいと言う 聞いた瞬間に自分は無理だなと、シフは頭を掻いた 階段を上り結構時間も経った頃、ちょうどまた上りの階段が見えて来た
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