冥界の主

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「あわわわわわわわわわ」 「ゥ"ォ"オ"ル"〔静かにしろ、〕」 動揺するシフに、三つ首の怪物は低く小さく唸った、松明に照らされてもその巨体は大部分が影に覆われている、肌は毛が一切無く、真っ白な人肌のようだ 無論、彼に怪物の意思は伝わってないし、今は思考をしどこではない 「シフ?そんなに騒いでどうしたのじゃ…………あっ」 不意に後ろを振り向くラルシェ、怪物は今度は普通に声を出した 「ウ"ァ"ア"ア"コ"ォ"オ"〔ほら見ろ、ばれてしまったじゃないか〕」 「ルチル!早く降ろしてくれ、」 「はい、ラルシェ様」 ルチルは言われるままにラルシェを竜から下ろす、尚、竜の方は断固として振り向かない、後ろ脚が小刻みに震えており、やや内股になっていた 気持ちは分かる、俺も漏らしそうだ 「って!?、お、おい!」 気付けばラルシェは駆け出していた、シフは止めようとするも竜と同じく内股の状態から体が動かせなかった、そんな彼の横をすり抜けて怪物の元へと行く 自分の身長を裕に越す前脚、その指先から突き出る浅黒い金属質の 爪、それに抱き付く彼女は溢れんばかりの笑顔であった 「会いたかったのじゃ~だもちゃん!隠れてついて来るとはイジワルだぞ?」 言うと、怪物の三つ首は目がないにもかかわらず、全てがラルシェに視線を送るように向く 「ウ"ォ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ン"?〔たまにはよいものだ、それよりこやつらは?〕」 一つ唸り声をあげると右の頭がシフたちに顔を向ける、向けられた彼は反射的に肩がはね上がった 「おお、パパ上の友人じゃ、名をシフと言う、竜の方はシフの連れじゃ」 「こ、こ、こここれがだもちゃん!?でかい…………っと言うかラルシェ、言ってる事が分かるのか?」 「おうよぉ!」 その事の説明についてはルチルがする 「ラルシェ様は全種族全ての言葉、感情表現を理解出来るスキル、《思想共鳴氣》を会得しておりますから」 そのスキルを子供なのに会得するのは凄いと思ったが、だもちゃんに抱き付く度胸の方がもっと凄いと、シフは思った
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