2087人が本棚に入れています
本棚に追加
轟音は、グレン達にも届いていた、大気の振動は、発生した地震も彼等に理解させる
「うおわぁっ!!」
思わず声を上げてしまうグレン、肩を跳ね上げ、音の方向を見る
津波の向かう先に、何かあったのだろうか
道中を思い出せば、高い山に深い谷と様々な地形のある土地だった、それだけ破壊の対象があると言い変えてもいい
陸からかなり遠ざかった様に視界には映るが、実際は目に映る一面が波に飲まれて生まれた光景なのだ
戦闘中は気付かなかったが、改めて見ると分かる異様な変化に、グレン、フォーモリアは固唾を飲んだ
波に、万が一片足でも触れていようものなら、今頃…
……考えるのは止そう
「おい、グレン」
今は、それよりも気にすべき事があった
フォーモリアがグレンに声をかける、先程から非常に小さい音だが、黒板を引っ掻いた様な音を耳が拾っていた
「分かってるち、何だこの音」
彼も気付いていた、驚くべき速さで大きくなるこの音は、言い表せない不安を二人に覚えさせる
この空域から離脱すべきだろうか
しかし、赤い悪魔の言った通りなら待たなければ
ふと、そんな事を思った矢先、一際大きくなった音が二人よりも上の空で爆発音と共に止まった
鼓膜に痛みを感じる程の大きなこの音は、二人が初めて耳にするものである
強い風が肌を打つ、彼等は空を仰ぎ見た
最初のコメントを投稿しよう!