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すると突如、糸の切れた人形の如く、グレン、フォーモリアの二人は活動を停止する
アテナがした事
一目だと、それは肩の力を抜き、“リラックスした”だけのように見える
しかし実際は、気を張り、身の内に抑えていた力の一部、加えてほんの一握りの“敵意”を、二人に垣間見せていた
物理的接触は一切無い、言うなれば軽い“威嚇”のみで彼女は彼等を仮死状態にまで至らしめたのだ
二十数年、あるいはそれ以上かけた命も、苦しむのを避ける為に一瞬で生きる事を放棄してしまう、それ程までに力、否、“存在の大きさ”に差があった
人と神の、埋めようもない差であり、神々の中でも実力のある彼女だと、その差も顕著に現れる
他の神ならば、腰が抜ける、酷くても気絶だろうが、彼女は仮死状態にする、あるいは本当に命を奪う事さえ出来た
「………と、」
フォーモリアが脱力すると皆が宙に放られる、その中で彼女はシフのみ、自ら手に抱えた
他の者は、自身の身のまわりを浮遊する鉄片を、それぞれの体格より二周り程大きな楕円形の板に加工し、ひとまずその上に乗せる
前もって精製していた鉄なので、フォーモリアの巨体を乗せた厚さ5mm程度の鉄板も、少々へこむ位で留まる破れない粘り強さを持っていた
鉄片を板に加工する際、彼女が身に纏う高級なスーツにシフの血が付着する、白いカッターシャツまで浸透するのにそれほど時間はかからなかった
応急処置は、やはり命を完全に救うには至らない、しかし、急拵えでこの処置は見事、と彼女は思う
要所要所の止血は行われている、アテナの服についた血は、止血前の彼に付いていたものだろう
視線を移し、ジェシーの手当ても見ると同様に正確な処置がされていた
〝出来るとすれば、この男か〟
無論フォーモリアがその様にする事は不可能、よってグレンが行ったと理解出来る
筋骨隆々の見た目に反して、やる事が繊細だ
「人間、約束は守るぞ」
聞こえてない彼等二人に向けて一言、アテナはそっと言葉をかけた
その時
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