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目を大きく開き、幾度か瞬きするシフに、フリオキスは「やっとか」と一言こぼすと、頬を軽く二度叩いた
「まだ意識がはっきりしてないか…“現実に戻ったら地獄”だろうな、」
シフの顎を持ち、彼の頭を動かして見るフリオキス、シフ自身はフリオキスにされるがまま座り続けていた
「あの」
再び、先程聞いた聞き慣れない声が聞こえた
今度は、背後から
思えば、頭上から声は聞こえたので、普通に上体を起こせば、声の主は後ろにいるままだ
「おお、申し訳ない、後ろを向けシフ、“新しい住人”に挨拶だ」
言いつつ、シフの上体をそらし、顔を後ろに振り向かせるフリオキス
見れば一人、綺麗な子供が正座していた
青から緑に、顔の角度を変えれば色の変わる瞳、髪は白いが、毛先にいく程、水色に染まっていく不思議な色合いだ
左耳で、金色のピアスが煌めいている
お洒落なバーにいるボーイの様な格好だが、カッターシャツが無く、上半身はチョッキのみの露出が高めの格好になっていた
胸元の鎖骨が妙に艶っぽいが、彼は男の子らしい
「私の名はフォルネウス【フォルネウス ジ オーシャンズ】と申します、今この時より貴方の僕となり、貴方と海を繋ぐ橋となります、力が弱り、いたらない所もあると思いますが、何卒、よろしくお願い致します」
礼儀正しく一礼し、シフの反応を待つフォルネウス
「……粗末な所ですが、ゆっくりして下さい」
とりあえずと言った感じに、シフも彼に向き直して頭を下げた
――――――――――――
【フォルネウス ジ オーシャンズ】
修辞学、言語の知識、他者の使役者に対する愛情をコントロールする力を持ち、自身の使役者にその力を授ける
また使役者の頼みで人、獣問わず、子を差し出すと良い名を授ける
彼の呼び名は様々であり
銀翼の悪魔
大海の翼
海の怒り
津波を運ぶ者
等、他にも地域により様々である
ソロモン七十二柱の一柱であり、序列三十番目の地獄の大侯爵
堕天使で構成される29の軍団を率いていたが、軍団は七十二柱が分かれたのと同じくして解散された
アモンに次いで装甲が堅牢であり、七十二柱の中でも三指に入る巨体(異形に侵食されるのに抵抗するため力を抑えていたが、本来は“フォーモリアが口内に軽く収まる”生物的に規格外のサイズ)
しかし、人の形態をとれば、逆に三指に入る身長の低さであり、容姿に違わぬ幼さも持ち合わせている
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