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廊下に出るとラルシェが待っていた、
「あ」と、目が合うなり二人の口から声が出る
「す、済んだのか」
先ず言葉を繋いだのはラルシェであった、視線はシフから外し、床を見ながらもじもじと手を腰辺りでこねている
済むどこか、事は起こしてない
「いや、だから違うて、………待っててくれたのか」
少なくともキマイラに押し倒されていた時間は15分以上はある、その間、この少女が扉の前で待っていた事にシフはすぐ気が付いた
「あ、その……な、ほら、どこで朝食か分からないと思ってのう」
シフの表情を伺う様に、幾度か顔を見るラルシェ
シフの反応次第で、自分は二人の空間に水をさしてしまったことになる、無論、水をさすもなにも彼女の勘違いと妄想だ
「そういや……全然場所分かんなかったな、いや助かったぜ!ありがとな!」
「おう!」
シフの返事に、少女はややぎこちないが満面の笑みを浮かべる
待ってて良かった
ちなみにキマイラは二人のやりとりなどどこ吹く風である
ラルシェの話によると朝食はメイド達の食堂で行われるらしく、この時だけはキマイラの耳がピクリと動いた
本当は王とその客人達専用の場所があるらしいのだが、皆でにぎやかに食べた方が美味しいから、と、シグマによって、食事はメイド達ととることになっているらしい
型破りな王様だなと、これはシフの思った事、依頼で色んな国に行って来た彼だが、何と言おうか無法地帯、統率がとれて無いとか、上下関係が無いとか
そんな国はここが初めてだった
「じゃあ行くぞ、」
食堂に皆で向かう
ラルシェに手を引かれ、やや小走りぎみに
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