-プロローグ-

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施設中に非常時を報せる警報が鳴り響く。 「何をしている!敵はたった1人だぞッ!」 兵士達は銃で応戦するが、侵入者はその身に1つの傷も負うことなく 次々に兵士達の命を刈り取ってゆく。 「クソッ!!何処に居やがる!」 未だ侵入者の明確な姿も確認できず、ただ仲間達が死んでゆく現状に兵士達は苛立つ。 だがその時… カッ!!っと施設中の一部が明るくなった。 設置してあるサーチライトが侵入者の姿を捕捉したようだ。 「………」 ライトが侵入者を照らし出すと、侵入者はその場で立ち止まり、周りを囲む兵士達を無言で見回す仕草を見せる。 侵入者は黒のコートに身を包み、頭部全体を覆うフルフェイス型の仮面を付けている。 そのせいで侵入者の顔は確認できない。 唯一推察できるのは、身長や体格から侵入者は男ではないかという事だけ。 そして右手には刀身から鍔、柄に至るまで塗り潰された様に真っ黒な刀を持っている。 突然、侵入者を中心に周りの温度が急激に下がっていくような錯覚を覚える。 「な…なんだッ!?」 兵士達にそれが殺気だと理解出来た頃には、 侵入者の周りにいた者達は一人残らず肉塊へとその姿を変えていた。
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