覚-はじまり-醒

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キーン‥コーン‥カーン‥コーン…… 高らかに鳴るチャイム、待ちに待ったと言わん許りに洩れ出す生徒達の賑やかな声。 ある者は急ぎ足で食堂か購買へ、またある者は仲間内で弁当を持って外へ… 私には余り縁の無いモノだ。 まぁ、原因は私が“変わり者”だからなのだが‥。 「幸村~、また一人でシケた顔して……俺とのお昼そんなに嫌ですか~?」 ぎゅっと後ろから頬を摘まれたと同時に聞こえる声。 「ひゃ…ひゃふへ……」 驚いたその場の勢いの侭、頬を摘まむ犯人の名前を呼んだ……が、何とも情け無い声がでてしまった。 「ぷっ……ははははっ、く…くく‥っ、あははは…っ!」 ぱっと手を放した佐助を見れば、腹を抱え笑っていた。 そんなに変な声だったのかと、羞恥心を隠せず顔が熱くなる。 「わ、笑うんじゃないっ!」 「すいません…でも、ぷっ‥くくっ……」 全然すまない等と思っていないじゃないか!! ‥と、盛大に怒鳴ってやりたいと思ったが、佐助には何を言っても無駄……すぐに流されてしまう事など目に見えている。 この男に口で勝った覚えなど、出会った頃から一度も無い。 「もうからかうな! 全く……早く行こう、折角の昼休みが終わる」 ガタンと音をたたて椅子から立ち上がると、佐助をその場に残し私は早々と教室を出ようと歩み出す。 「あ、ちょっと待って下さいよ!……もしかして怒ってます? からかい過ぎたかな…~」 反省した様に弱々しく聞いてくる佐助、反省など全くしていないくせに……仕様の無い奴だ。 「怒ってなんていない」 「はい、知ってます」 「なら聞くな…まったく」 「聞いてみたくなっただけです」 「はぁ……馬鹿」 でもまぁ…一緒にいて飽きない奴だよお前は。 そんな他愛も無い言葉を交わしながら、私達は屋上へて足を進めた。  
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