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「『異層透過』って言って、本来存在してる界層が違う空間に影響及ぼしたり、実体化したりするにはものスゴイ熱量やら何やらが必要なんだ。──シロの周りに集まってくる低俗霊は、シロが持ってる熱量を使って悪さしてるだけで、本来そいつら自体にはそこまで現世に介入できる力はないのさ」
基本フダンは子ドモのくせに、仕事モードになると途端に大人びた感じになる。
最初に士郎が祥史に出会った時も、いろいろブツクサ言いながら、結局一番そばに居て守ってくれたのが年端もいかないこの祥史だった。
(ま、クチの悪いトコがたまに傷だけど)
「──なんだよシロ。なんかおかしいのか?」
クチビルを尖らせて祥史が睨んで来る。
慌てて士郎は首を振った。
「違うよ!ただ、なんかカッコイイなって思っただけだよ」
「なっ…!……ば、バカ。恥ずかしいだろ、急にそんなコト言いやがって……」
照れくさそうに目を逸らす祥史。 こうなると士郎の顔をまともに見れなくなる。
「…ともかく!士郎に霊を近付けさせないのがオレの仕事だ。今、姉ちゃんが探してるシロの体質を押さえられる方法が見つかるまでは猫一匹だってシロに触らせないからな!」
「でも、この『自称・精霊』くんは、悪いヤツじゃないよね」
悪いヤツだろーがそうで無かろーが────。
イラッ、ときた祥史が士郎に怒鳴る寸前、祥史の目の端に藍空の姿が映った。
「ペットボトルにクチつけて一気飲みしてんじゃねーよ!バカ精霊!!」
あまりの剣幕にびっくりしたのか、ペットボトルの底を天井に向けて豪快にペプシを一気飲みしていた藍空は、飲みかけを盛大に吹き出してしまった。
「!!!!」
そのあまりの吹き出しっぷりに、思わず祥史も士郎も大笑いしてしまう。
「あははは!」
「か…カッコ悪い…は…腹が捩れる……」
あおむけになって笑い転げる少年二人に、藍空は憮然としながらペプシまみれの顔を拭った。
「手ぬぐいくらい、取ってくれてもいーとおもうんデスけどー」
藍空の惨状にひとしきり腹をかかえた二人は、呼吸を整えながら向かい合った。
「ああ、精霊くん、ごめんね。──祥史、そこの引出しにタオルあるから取ってよ。」
「え~?!しょーがねーなー。今どき幼稚園児だって身の回りのコトくらい自分でやるってのに」
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