闇の柔らかな肌

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 「あれ?祥史、どうかした?」  「な・なんでも無いって!ポチの馬鹿がちょっと落書きしてさ」  首を傾げた士郎の前でシドロモドロになりつつ、ポチをはがいじめにした祥史。  (テメー、コノヤロー!『心を読む』力は他のヤツに使えって言ったろうが!)  「痛たた!痛いよヨッシー!」  (テメーにヨッシーって呼ばれる覚えはネーよ!馬鹿ポチ!)  もう折り鶴でツッコミを入れるのも面倒になったのか、文仕込みのヘッドロックでポチを掴まえた祥史が心の中で絶叫していた。  ポチを野放しにしていたら、いつ何時、祥史が士郎に対して抱いている想いまで暴露されてしまうかわからない。  祥史の脳裏にゆうべ文が言い残していった言葉がよぎる。  『情報生命体であるソードクラッシュは、不思議な事に自らをコピーしていない。つまりずっとオリジナルひとつが世界を漂っているってわけ。  ヒトの精神を乗っ取る過程も手段もまだはっきりわかっていないから、今の段階では士郎くんが唯一の手掛かりなの。ポチのチカラを使って、何としてでもソードクラッシュの痕跡を士郎くんから探し出しなさい。  これは命令だからね。』  姉の冷たいまなざしを思い出し、背筋に悪寒が走る。  (──ってなわけで、姉ちゃんの言う通りにしないと、オレもオマエも間違いなく姉ちゃんに殺されるからな。シロの観察と、シロにソードクラッシュがまた近付かないように、よく見張っとくんだぞ)  ポチも香月文の豪腕を思い出したのか、青ざめながら何度も頷いて見せる。  「よ~し。じゃあ食べ終わった祥史くん!今日の後片付け当番ヨロシク!」  「ええ~!?いきなりオレかよ~」  「当たり前だろ。ちゃんと祥史用のエプロンも準備してたんだから」  と言って士郎が祥史に手渡したのは、『火曜サスペンダー戦隊ゴサスペン』の『サスペン・バーミリオン』がプリントされたお子ちゃま仕様のエプロンだった。  「な…ッ!なんだよこれッ!こんなモン着るわけねーだろ!」  「でもヨッシーってば、スッゴク喜んでるよね」  
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