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「二つめの質問です。キミたちはどうやらボクが見えるみたいだけど、…ひょっとしてモロにキッパリクッキリ見えてるのかな、それとも心持ちうっすらな感じ?」
その問い掛けに祥史と士郎は顔を見合わせ、それぞれ答えた。
「…モロ見えです。」
「もうちょっと遠慮したほうがいいんじゃねーのってくらい。」
「あー…そーなんだー。」
苦笑しながら精霊はため息をついた。
「えっと、じゃあ気を取り直して、最後の質問に行きたいと思います!」
「どーぞ」
なんだかやる気を無くしたらしい祥史は、その場に胡座をかいて座り込んだ。
「今日で丁度六月になりました!○か×かで答えて下さい!」
「○に決まってるだろうが!!!」
即座の異口同音の御答えに出題者はびっくりしてその場にしゃがんでしまった。
「そっかー、もう六月になっちゃったんだ~」
呟くように言うなり、精霊はしゃがんだまま、両手に顔を埋めて泣き出した。
しかも大声で。
「…祥史」
「…なんだよ、シロ」
泣きやまない精霊を片目にみながら、士郎が祥史の袖を引っ張った。
「今のウチに逃げたほうがいいと思うんだけど」
「まー、そーだよな。なんかかなり霊位高そうだけどバカっぽいからな…」
それに、と言いかけて祥史はやめた。
この何か月か佐田士郎と付き合ってきて、思い知らされた事が一つある。
それはこの佐田士郎が、どうしようも無いくらいお人好しな一面があるという事実だった。
霊を看るだけならまだしも、そこらじゅうでのべつまくなしに霊を引っ掛けてくる。
士郎本人に自覚がないうちにモノノケが寄ってくるのは、士郎のそばが妙に心地よいからだ。
あまり長居すると、『アイツ可哀相だよね』とか言いかねないし…。
さっさと士郎を連れてこう。
と、こっそり立ち上がりかけた祥史がその動きを止めた。
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