あおいろ

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 「シロ、その肩に乗っけてるタマゴ何?」  「えっ!?」  士郎の細い肩に、スーパーで一パック88円くらいで売っているようなタマゴが一ッ乗っていた。  「動物霊かなんかかな。シロ、取ってやっから動くなよ」  「わ…わかった」  祥史は指をタマゴに近付けた。  その時、タマゴが割れた。  と、いうか横にパックリ開いた。  ……『ジョーズ』さながらの凄まじい牙を剥いて。  タマゴの牙も素早かったが、0,2秒の祥史折り紙テクが急場を救った。  赤い輝きと何かが弾ける音が同時だった。  「…!」  光と残響が収まると、祥史と士郎は目の前に信じられないモノを見た。  タマゴがサッカーボール並に巨大化していたのである。  「…」  絶句した士郎の横で、祥史もある意味絶体絶命の危機に立っていた。 「姉ちゃんに…殺される…」  タマゴの脇に、無惨に破れて落ちた折り鶴。  『延喜式香月流は紙を神とする。…アタシの創った折り紙、大事にしなかったらぶっ飛ばすからね』  「なあ、シロ」  「なんだよ」  「オレの鶴が負けたってコト、姉ちゃんには内緒だからな」  「こんな状況の時に何言ってんだ!」  見ればタマゴはさらに巨大化しそうな勢いだった。  「よ…祥史…ッ」  最早パニック寸前の士郎の前に立った祥史は、背中に手を伸ばしながら不敵に笑った。  「大丈夫だって。落ち着けよ、シロ。オレには」  祥史の手が、背中から何かを引っ張り出した。  「延喜式香月流師範香月文作、劣化ウランコーティングハリセンがあるからなぁ!」  「それフツーに命危ないだろう!」
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