インド本番

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値段交渉で忘れられないことがある。 値段交渉の練習にと買う気は全くないのに冷やかしで何軒か店員と話をしていくうちに物価やどうすれば交渉を有利に進められるか自信がついてきてた。 とある仏具店にて、タバコ箱位の大きさの仏像があったんでこれはと思い、 「これって、いくらするの?」 『アナタ、とてもいいのに目を付けたね。これはインドでは商売繁盛の神様なんだ。それにうちはすべてハンドメイド。見てくれよ……』 インドは商品についての説明好きなひとがよくいる。それによって、価値を高めて高く売れると思っているのだろう。 「へぇ、神様ってのはわかった。で、いくら?」 『100ルピーだ。安いだろ』 「いや、これなら20ルピーってとこかな。」 この一言が商人の怒りを買うなんて思ってもみなかった。 『おまえは何を言っているんだ。ここはフルーツショップではないぞ。20ルピーなんてとんでもない。すべてハンドメイドって話を聞いていなかったのか?』 物凄い剣幕でまくしたててきた。 それまでもその後も、値段交渉であそこまでまくしたてられたことはない。 インド人にも自分の仕事に誇りを持っている人はいることが判明したできごとだった。
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