ホームシック

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パキン、ズボーッって俺のチョップで水道栓が折れてしまい、止めどなく水がでてくる。 あせって、フロントに 「水がボーって、壊れた。」 片言の英語ではこれくらいしか言えず、すぐに状況を見てもらい、応急処置。 木の切れっぱしにタオル巻きつけて管に差し込む。 超原始的な応急処置。 オーナーと従業員が3人ががりでずぶ濡れになって処置してくれた。 で、ここまでは普通。 インドはここからが違う。 従業員がいなくなったのを見計らい、オーナーのところに行って、100ルピーを差しだし、 「少ないかもしれないが、壊したから払う。」 正直、足りないとかもっと払えと言われると思った。 しかし 『いらねぇよ。気にするな。ゆっくり寝な。』 うぉい、オーナー、かっちょいいよぉ。ホームシックしてた俺にはめちゃくちゃかっこよく見えた。 部屋に戻り、ぴちゃぴちゃという水道の音は前より大きな音がするがしかたない。 なんて考えてると コンコンって、ドアをノックする音が。 誰だ? あれっ?さっき、処置してくれた従業員ではないか。 「どうした?」 『濡れてしまったからクリーニング代が欲しいってオーナーが言っていた』 俺もオーナーと従業員の違いに驚きつつ、 「20ルピーで足りるか?」 『一人5ルピーでいい。』 「残りはやるよ。」 『ありがとう。ゆっくり寝てな。』 そしてドアが閉まると同時に喜びの声。 わかってて騙されたが、嫌な気分はしなかった。 インド人もいろいろいるってことがわかった夜だった。
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