じぃちゃんの鳥カゴ。

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じぃちゃんの鳥カゴ。

じぃちゃんの家にいつものように遊びに行くと、鳥カゴがぶら下がっていた。 その中には、鳥じゃなくて、ドブネズミが一匹入っていた。 家に迷いこんで、身動きがとれなくなったドブネズミを、じぃちゃんが助けて、鳥カゴに入れていた。 そのドブネズミは、かなり弱っていた。 ドブネズミは、名前の通りの、ドブのように臭いにおいを漂わせて、ドブのような皮膚の色をしていた。 ばぁちゃんは、 「のさんから、早くたたっ殺さんねー!」 と、じぃちゃんに言っていた。 でも、じぃちゃんは、煙草の『わかば』を吸いながら、話を右から左へ受け流していた。 よく見たら、じぃちゃんの右手の人指し指には、血がにじんだ包帯があった。 どうやら、ドブネズミを捕まえる時に噛まれたらしい。 ばぁちゃんが、言うには、「山に逃がしにいくんだ」といって言うことを聞かなくて、じぃちゃんが、ずっと、鳥カゴに入れているらしい。 じぃちゃんは、人指し指の肉を噛み切った、臭くて汚いドブネズミに、毎日餌をあげたていた。
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