開演光路

4/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
食べなくても死なない。それは事実だった。強いて言うなら食事が呼吸そのものだった。 -今から何するんだ?- -あなた、質問ばかりですね。少しうるさいです。- -何するかぐらい言えよ。- 彼女はうつ向きぎみに言った。 -今からあなた自身にも能力を少し使ってもらいます。そこにある石をなにかしらの金属類に変化させて。- -あっあぁ…- 調子狂うな、一瞬そう思ったが嫌と断れはできない雰囲気が流れていた。少し時間はかかったが石は鉄に変化した。 -ふん、宝の持ち腐れね。あなた、誰が鉄一つに限定しろって言った?部分的に鉄やアルミ、鉛とかにできないわけ?- -んなことできるわけねぇだろ!- -見てて、手本見せたげる。- そう言うとみるみるうちにまわりの石がツギハギ金属になった。 -すげぇ……ってお前今俺のエネルギーとやらを使ったのか?- -当たり前でしょ、……大丈夫疲れたりはしても死なないから。エネルギーと言っても体力だけだから。体力を付ければなんてことない- -簡単に言うなよ。- -とにかく、これからは少しづつ鍛錬をします。あと一時間もすれば元の世界に戻るでしょう。- -元の世界って?じゃあここは!ここは任務先じゃないのかよ!- -言いませんでしたっけ?この世界はあなたの元の世界をトレースした世界で数学的に言えば写像です。- -すまん…わけわからん…- -説明は終わりです。たとえ一時間弱でも鍛錬します。ちなみに今なぜここにいるかということだけ…今組織が向こうの世界の微調整をしています。では鍛錬開始します。- また微笑した。相変わらず声は小さかった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!