時玉

2/5
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
――昔、俺はずっと生きる意味を探してた。 生き甲斐を求めてた。 毎日勉強して、先生に怒られて、不良にからまれて・・・・・・ そんな事の繰り返しの日々が楽しい筈がなかった。 せめて、せめて少しでも良いから安らげる空間が欲しかった。 心を許せる誰かに傍にいて欲しかった。 心の中の止まない雨が限界まで溜まった時、積み重なった想いのダムは決壊した。 涙が静かに零れ落ちた。 誰とも話したくなかった。 俺は寡黙な日々を虚ろな目で過ごしていた。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!