移転

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「さて、もうバレてるみたいだし帰るか?どうせ夢櫂が仕事を済ませちまうだろ。」 「ん~、それでもいいけど報酬貰えないんじゃない?ムー君の事だし。」 「それはもうこの際しょうがないだろう。」 「まぁ、その格好だけが記念だねー。」 「くっ、それはなしだぞ………。」 その格好…………、ここにはあまりふれないでおこう。語るの面倒だからじゃないぞ?自分のプライドを守るためだ。 あえて言うなら男からも女の子からも評判がある、とだけ言っておこう。 「それじゃあ、行きますか。」 廊下に誰もいないことを確認して歩き出した。 弥生と横に並びながら、 「やっぱり、少しは探した方がいいんじゃない?」と弥生が話かけた。 「報酬の問題だけじゃなくてムー君が少し怒るんじゃないのかな。無理矢理頼み込んだ事だし。」 「いや、無理言ったのはお前だろう。」 「でも参加してるじゃ~ん。」 「分~かったよ。でも、次見つかったらすぐに出るからな。」 「あいあいさ~~。」 頭良いくせにメッチャ天然型。ある種の人から見れば魅力的なのかもしれないが、こいつと付き合ってそれはプラスな面ではないと知った。 「それじゃ、まずは戻って――。」 と廊下に足音が響いた。 すぐに近くの教室に入り教卓の下に隠れた。………が失敗だった。教卓の下と言うすぐに見つかってしまうところに隠れたのもそうだが、2人が入るには狭すぎた。窮屈で教卓がガタガタ揺れて教室に入ったらすぐにバレてしまうだろう。 「おいおい。もうちょい何とか狭めろよ。」 「何とかしろだって~~、僕ちゃんはもう限界だよ~。ちょっとこんな所で愛の確認をしなくても~~。」 「冗談言っている場合か!もうお前を抱えて走るのは無理だぞ。」 「とか言って、君を置いて行けるか。とか言ってくれるくせにぃ~~。」 くっ、そんな事死んでも言えるか。 とその時、教室のドアが開いた。 もう体中の筋肉を使って、教卓の揺れを止めた。何秒保つか分からない中で、精一杯頑張っていたが、 「あれ~~。もしかして侵入者さんですかね?」 と1人の少女が覗きこんだ。 「中等部、2―Aの縁姫眞姑で~す。以後お見知りおきを。」 と名乗った少女は、にこやかに笑った。
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