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演説は再開された。
「私は昔、とても無気力でした。将来なんて成り行きに任せれば良い、そんな考え方の持ち主でした。そんなある日の事です。外出時に手帳を拾いましてね、興味本位で開いたんですよ。そしたら沢山の漢字が羅列されているではないですか。私は見る気が失せましたが、読んだんです。そしたらその手帳が人の死期が記される物だと気付いたんですよ。私は腐ってましたからね、それを楽しみました。そしてある日、手帳に私の名前が現れたんです。私はもう、死にたくないってね、必死に持ち主を捜しました。しかし見つからない。絶望していた私に希望の光を差してくれたのは、父親でした。寺の住職をしていたので、得意の説教で私にヒントをくれました。そして日記を持ち主に返して、生き延びたんです。その後、私は必死で勉強しました。嫌いだったワイドショーに批評を流させない為に、有能な政治家になろうと心に決めたんです。父親はずっと応援してくれた。でも、父親は私が大臣になる姿すら見ずに逝ってしまいました。それでも、私は頑張りました。その結果がこれです。誰でも努力次第で何でもできるものです。皆さんも夢を諦めてはいけませんよ。」
演説は終わったが、一言足した。
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