目覚め

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忠への気持ちは募るばかりだったけど、カミングアウトする勇気もなく一時期熱病に冒されたような状態にまで陥った。 異性を好きになったのなら、ダメ元で告白もできただろう。けど、もしそうすればそのことがどこかから伝わったとしたら、クラスメイト達との関係が壊れてしまう。それが怖くて、自分が苦しみ続けることを選んだ。 いつも寂しそうな顔をしていた彼が、みんなで遊んでるときに見せてくれてた笑顔を見られるだけでも幸せだった。たった3年足らずだったけど。 中学校の時もそうだったけど、好きになってしまった子の近くにずっといられたのは、思いは伝わらなくても、苦しい気持ちを経験できたこと自体が幸せだったのだろうと今は思う。 今でも数年に一度くらい卒業アルバムを見返してみることがある。その中に彼等を見つけた時は、自分が過去に引き戻されて、あのころの切なさや寂しい気持ちが瞬時に呼び醒まされてしまう。 いわゆるノンケを好きになったのは2人だけだったし、これ以降僕はたくさんのゲイの人達と出会って、一生大事にしたい友達も出来たし、恋もした。でも、今も思いだすと胸が苦しくなるくらい人を好きになったのは、それが最後だったかも知れない。 叶わない恋は辛いけど、叶ってしまうと見えてなかった部分も見えて、綺麗な物がそれほど綺麗じゃなかったことに気付いてしまうのも、きっと辛い。 今は大人になったから、誰かと付き合って行く時はそういう部分も含めて、相手のすべてを好きになれるように、じっくりと付き合っていくことにしている。 今一回り年下の彼氏がいる。彼のことは、そのわがままさが嫌になったり、ケンカになる時もあるけど、中学、高校の時に好きになった彼等のように別れても、ずっと好きでいられる気がする。 今の彼氏と付き合う前にも何人かと付き合ったが、その話は追々書いて行くとする。 自分がゲイとして目覚めたころのことを今回、この文を書きながら昔を思い出していたら、切なくなってしまったので話が少しユルい感じになってしまった。どちらかと言うと毒気付く性格なので、これから書いて行く内容は今までと少し違う感じになると思うけど、できるだけたくさんのことを書いて行こうと思うから興味を持ってくれた人は読んでください。
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