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俺は泉と二人で帰ることにした。前の俺なら軽く拒否しただろうが、もう拒否するのに疲れていた。それに、承諾したときの泉の顔…あんな嬉しそうにされたら、拒否なんてできる訳がない。しかし、問題があった。
『…………………』
泉『…………………』
会話が無くて気まずいのだ。正直、何を話せばいいかわからない。泉は泉で歩き始めた途端に暗くなるし…
泉『ねぇ』
『あ?何だよ』
泉『なんでさっき「他の3人と帰らないのか?」って言ったの?』
『え?何でって…仲良い奴達と帰るのが普通だろ?』
泉『まただ…』
泉は急に立ち止まる。それに次いで俺も止まった。
『え?』
泉『また拒絶しようとしてる』
そういう泉の頬は濡れていた。今度は本物のようだ…
(……こいつは「あの3人」じゃなく、「みんな」って言って欲しかったんだな…無意識に俺は拒絶していたのかも)
俺は泉の頭を撫でてやった。
『もうしないから、安心しろよ』
泉『…ヒグッ…ヒグッ…もうけいごくんはあたし達の仲間なんだからね…ヒグッ…』
『あぁ、わかったよ。もうっ!泣くな泣くな~…そうだ、アニメイトでも寄って行くか?』
泉は涙を拭い、
泉『うんっ!』
最高の笑顔。あ…こいつ笑うと……いや、気のせいだ。今の感情は心の底に沈めておこう。
(それにしても、仲間…か。俺、こいつらといて良いのかな…ホントろくな目にあわないぞ?泉)
泉『どうしたの?早く行こうよ』
『あぁ………何でもない、行こう』
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