Ⅲ.輪

4/19
前へ
/85ページ
次へ
俺は泉と二人で帰ることにした。前の俺なら軽く拒否しただろうが、もう拒否するのに疲れていた。それに、承諾したときの泉の顔…あんな嬉しそうにされたら、拒否なんてできる訳がない。しかし、問題があった。 『…………………』 泉『…………………』 会話が無くて気まずいのだ。正直、何を話せばいいかわからない。泉は泉で歩き始めた途端に暗くなるし… 泉『ねぇ』 『あ?何だよ』 泉『なんでさっき「他の3人と帰らないのか?」って言ったの?』 『え?何でって…仲良い奴達と帰るのが普通だろ?』 泉『まただ…』 泉は急に立ち止まる。それに次いで俺も止まった。 『え?』 泉『また拒絶しようとしてる』 そういう泉の頬は濡れていた。今度は本物のようだ… (……こいつは「あの3人」じゃなく、「みんな」って言って欲しかったんだな…無意識に俺は拒絶していたのかも) 俺は泉の頭を撫でてやった。 『もうしないから、安心しろよ』 泉『…ヒグッ…ヒグッ…もうけいごくんはあたし達の仲間なんだからね…ヒグッ…』 『あぁ、わかったよ。もうっ!泣くな泣くな~…そうだ、アニメイトでも寄って行くか?』 泉は涙を拭い、 泉『うんっ!』 最高の笑顔。あ…こいつ笑うと……いや、気のせいだ。今の感情は心の底に沈めておこう。 (それにしても、仲間…か。俺、こいつらといて良いのかな…ホントろくな目にあわないぞ?泉) 泉『どうしたの?早く行こうよ』 『あぁ………何でもない、行こう』
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

431人が本棚に入れています
本棚に追加