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夜12時。
ある宝石店に1人の少女が現れた。
少女の名は{神崎由夜}
江戸で有名な怪盗で、武装警察真選組を完全に敵にまわしながらも、一度も捕まったことのない逃げ足の速い少女である。
「土方さん、来やした」
物陰に隠れて由夜を見つめているこの少年の名は {沖田総悟}
真選組一番隊隊長である。
外見はいいが、中身はとても腹黒く、性格はマイペースで何を考えているのかよく分からない人物である。
「早まるなよ総悟。もう少し油断したところで捕らえる」
沖田をそう宥めたのは真選組副長{土方十四郎}
くわえ煙草がトレードマークで瞳孔開き気味の男である。
{マヨラー}、{鬼の副長}の肩書きを持つ、ツッコミどころ溢れる愉快な方である。
「でも土方さん、そう言っていつも逃がしてるじゃねぇですか」
「今日こそは大丈夫だ」
「それもいつも言ってやすぜ」
「絶対に大丈夫だ」
沖田と土方の不毛でレベルの低い争いの中、由夜はちゃっちゃっと宝石を盗み、気配を消しながら二人に忍び寄った。
『ちゃんと仕事しないと逃げちゃいますよ?』
「「!!!」」
由夜の声に驚き、言い争っていた沖田と土方は、すぐにそちらを向いた。
由夜は二人が向いたのと同時にニコリと微笑んだ。
その笑顔に二人は赤面し、目を見開いた。
『頑張ってね警察さん♪それじゃ宝石ごちそーさん!』
そう言い終わると由夜は煙幕弾を投げ、その場から消えていった。
「チッ・・・これで分かったでしょ、土方さん。じっとして待ってるだけじゃどうにもならないんでさァ」
「分かった・・・総悟、お前の意見を聞いて、次に来た時はすぐに取り押さえるようにする」
「チッ、最初からそうしておけばよかったのに、これだから土方コノヤローは困るんでィ」
「聞こえてっぞ総悟…」
「マジでか∑(゜□゜)」
「いや嘘だろ、絶対わざとだよな?」
土方の問いにわざとらしい反応をする沖田に、土方は眉間にこれでもかと言う程の皺を寄せた。
その後二人の争いに監察方の{山崎退}が終止符を打ち、その場を後にする真選組の面々であった。
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