#02 かんゆう

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  桜が散りかけていて、ここ最近は暖かかったことを思い出す。今日は少し肌寒い。 校庭のすみに咲いた一本だけのそれは、心なしか物足りなく見えた。 「君、新入生? あっちで花もらってきてね!」 生徒会の腕章をつけた、俺よりもかなり背の低いツインテールの女の人に声をかけられた。 少し誰かに似ている気がした。 俺はそれに返事をせず、その言われた方向へ向かう。もっとも、新入生用の花を胸につける気などは、さらさらない。 その人が生徒会長だと知るのは、ちょうど一時間後、生徒会長からの祝辞の時だった。
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