#02 かんゆう

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  そう思って、近くにいた方の頭に回し蹴りを入れた。 リーチの違いだ。相手の拳が届く前に、俺の足の方が、余裕で先に当たる。 そのままもう一人の鳩尾に、拳一発。鈍い音がして、崩れ落ちる。 二人とも、起きあがっては来なかった。あっけなく、決着はついた。 「ふう。話にならない弱さだったなぁ。大丈夫ですか?」 先ほどまで端で怯えていた人に声をかける。手や足が擦り傷だらけだ。 「あ……ありがとう……」 「いいえー。俺もいい暇つぶしになったし」 ぺこり、と一礼してその人は校舎に駆けていった。俺はひとつため息をついて、それから校舎に向かおうとした。 そのとき。
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