我慢できるか、ダメ教師

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かくして、担任初日。 要録に目を通しておけとは言われたものの、その数十分後には3年A組の教室前に立っていた。もうすぐ朝のHRが始まる時間だ。 「…はぁ~…できんのか、俺に」 勢いで「頑張る」とは言ってみたものの、よくよく考えれば俺には担任経験がない。副担と言ってもクラスに属して行動するわけではなかったし。 朝って出席とったりしてんのかな、いや、3年だもんな、そんな時間すら惜しいよな、とか変な自問自答を繰り返した。 「…っ、よし!」 まぁ、結論から言えば、悩んだってどうにもなんねぇって事に辿り着いた。 微妙な気合いを入れて、ガラリと勢い良く扉を開けて教室へと入った。生徒がざわざわしている事に気が付いてはいたが、どんな表情で迎えられているのか恐くて、ここまで一目もまだ見ていない。 「えーっと、今日から、春日先生の代わりにA組担任になります、浅香です。質問があれば何なりと!」 勢いに任せて言い放ち、その流れで顔を上げると、教室の後方からガタン!と盛大な音が聞こえた。 何事かと思えば、生徒が立ち上がった反動で椅子が倒れたようだった。 って、え!? 「や、山谷…」 そこに居たのは、真っ赤な顔で佇む山谷だった。 .
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