ハジマリは笑顔

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「実は、君に3年A組の担任をしてもらいたい」 …え? 「浅香先生!聞いてるのか!?」 「あっ、はい!」 予想外の言葉が聞こえ、思わずぽかんとしてしまった。返事をするのも忘れて、だ。これは何かの間違いか?だってもう3学期に入り、年度が終わる時期だ。こんな時期にクラス替えなんてあるはずが… 「いやぁ、担任の春日先生が腰を悪くされてねぇ…。入院してしまったんだよ」 3年生にとってこんな大事な時期に担任が居ないのも困る、そういったわけで3年副担の俺に白羽の矢が立ったというわけのようだ。校長は「生徒が動揺しないように…」だのなんだの注意をベラベラと並べていたが、俺には正直どうだって良かった。 だって、クビになる話じゃなかったんだから!!てっきり俺は、先日の山谷への告白がばれて、保護者から「エロ教師」だの「不純だわ!」などと散々な言われようをした揚句、校長に呼ばれてスパっとクビを宣告されるもんだと思っていた。 なんだよ、心配して損した。あ、謝り損でもあるか。 「…香先生……浅香先生!」 「はっ、はい!」 「A組は気難しい生徒が多く、尚且つ受験シーズンですから生徒は非常にナーバスになってます」 「……はぁ」 「春日先生から指導要録を預かってますから、しっかりと一人一人に目を通しておくように!いいですね!」 「はいっ!任せてください!」 島野先生にぴしゃりと言われ、一瞬グラリと目眩がしたが、卒業までのたった3ヶ月じゃないか、どうってことない。校長にぽそりと「君だから心配なんだが…」と言われた気がしたが、聞こえなかった事にする。 こうして、俺は生涯初の担任を持ったわけだ、が… .
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