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眠りによって経過した時間がどれだけかはわからなかった。けれど空は白み、瞳を開ければ窓の外には見知らぬ風景が流れていた。
もうすぐ、バスは終点に着く。僕が新しい生活を始める場所に。
それはとても素晴らしく、恐ろしい事だ。
しくじるか、しくじらないか。
バスを降りて踏み出す一歩めにさえそんな意味があるのかもしれないと錯覚してしまう。
僕は、僕の望む人生のレールの上に立っているのだろうか?
それとももうとっくに外れてしまっている?
わからない、そんな事は。例えば3年前に口付けをした彼女と別れた時から全てが終わっているのかもしれないし、1年後に出会う女性と出会うまでは始まりもしないのかもしれない。
つまり、全てが結果論で知るべき時はずっと先だ。
歩き出す。
それ以外は何を考えても無意味なんだから。
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