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僕たちはバスに戻ると、それぞれの席に着いた。
後はただ目的地へとたどり着くのを待つだけだった。
僕はi-podのイヤホンを耳に当て、さっきまで繰り返し聴いていた曲から、違う曲へ変えた。
独りでの旅立ちの曲はもう必要なかった。
先にある未来がどんなものだとしても、さっきまでの不安はもう感じないで済むから。
瞳を瞑ると、眠気が波のように僕の意識を奪って行く。
僕は微睡みの中で、さっき知った美しい名前を浮かべた。
彼女も同じ気持ちでいれば良いのにと思いながら。
バスの行き着く先で、二人の生活を始めよう。
真っ白な壁の家で、大きなグリーンの窓から彼女の瞳に良く似た月の光を見つめよう。
影は寄り添って、重なるんだろう。
それは、きっと幸せな事だ。
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