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代償
何かが崩れた音を
確かに聞いた
歩みを止めたのは
ほんの一瞬で
見てみぬふりをした
一度崩れたものが
元には戻らない事は
ずっと前から知っている
止められない
狂った歯車に
手を伸ばせば契れてしまう
いつの間にか絡み付いた憎しみは
嘲笑うように拍車をかけ重い足枷となる
掌に食い込む釘の熱が伝わる度に
脈打つ鼓動が
犯した罪が血と骨となり
この身体に流れだす
欲したものの代償に
背中に伝う
冷たい十字架
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