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佳恵さんには隠し事はしたくなかった。
だから、瀬那のことを話すことにした。
これ以上佳恵さんに心配かけたくないし…。
『実は、今日友達が告白したんですよ…。でも、失敗しちゃって…。だから、俺だけがこうして佳恵さんと会ったり、メールしたりするの……何か悪いな~って思って…。』
「そっか~。」
『しかも…その友達ふさぎこんじゃって…。だから…すいませんでした。』
俺は佳恵さんにちゃんと謝った。
「里流はさ…私とメールしたりとか、会ったりとかするの楽しくない?」
『全然そんなことないです!』
「だったら…ちゃんと私のこと見て?その友達は多分、里流に同じ悲しみを知ってほしいって訳じゃないと思うよ?だから、里流は里流で楽しまないと損だと思うな!」
佳恵さんの優しさが身に染みた。
確かに…瀬那の痛みを背負うなんて、お門違いだ。
瀬那がそんなこと望んでないことくらい…わかってたはずなのに…。
『ありがとうございます。』
「もう!そんなに謝らないの~!」
佳恵さんは笑って、頭を撫でてくれた。
こんな時間がいつまでも続けばいい…。
俺はこの時改めてそれを実感した。
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