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「あんのバカ…」
そんな中、校内の教室で頭を抱えているのは誰あろう校門の少女の待ち人、御波 舞斗 (ごなみ まいと)その人だ。
ようやく一日の授業を終え帰ろうと思った矢先あの騒ぎである。しかも原因は自分の身内。頭も抱えたくなる。
クラスメート達も騒ぎを窓際で見物している。今もし校門に出ていったら明日の質問攻めは必至だろう。
しかし放っておく訳にもいかない。放っておいたら騒ぎを大きくするだけだ。ため息をつきながら舞斗が席を立とうとしたその時。
「舞斗」
一人の女生徒が教室に入ってきた。
「おう、千陽子」
浅野 千陽子(あさの ちよこ)。舞斗の幼なじみである。綺麗な長い黒髪に思慮深さを感じさせる瞳。女子にしては高い背丈も相まって、可愛いというよりも凛々しいという方がふさわしい。
「舞斗、今日は稽古来れるの?」
彼女の家は剣道の道場を開いており、舞斗も小さい頃から通っている。だがここ最近は稽古には行っていなかった。
「すまん。今日もちょっと、な」
「…何かあったの?父さんも心配していたわ」
「あったというか、今、正に起こってるというか」
「?」
「…すまん。先生には上手く伝えといてくれ」
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