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そう言って舞斗は教室から出ていった。
「待って舞斗。なら一緒に帰るくらいは…」
「すまん。それも今日は無理だ」
後ろを振り返り申し訳なさげに答える。千陽子には悪いと思うが仕方ない。
「………」
それ以上は千陽子も強く言えず、ただ見送るしか出来なかった。
🏁
「ファステア」
「遅いぞ舞斗!アタシを何分待たせるつもりだ」
校門前に居る全員の視線がやって来た舞斗に集中する。
(誰?)
(いいな~あんな美人と~)
(つかどういう関係?)
『刺す様な視線』と言うのはこういうのを言うのだろう、なんて事を舞斗は思う。好奇、羨望、嫉妬―様々な感情が入り交じっている。正直気分の良い物ではない。
「待たせるつもりもなにも、そもそも俺は待ち合わせした覚えは無いんだが?」
「…こ、細かい事はいーんだよ。ホラ、さっさと乗れって」
ファステアと呼ばれた少女は既にトライクに乗り込んでいる。
「………」
言いたい事は多々あるが、喧嘩でも始めようものならそれこそいい見せ物だ。舞斗は黙ってファステアの後ろに乗る。
「危ないよ!どいたどいた!!」
人垣が割れそこを赤いトライクが走り抜けていく。
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