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途中、携帯電話のカメラのシャッター音があちらこちらから聞こえる。ケータイにカメラ機能なんぞを付けた奴を舞斗は呪った。
トライクが走り去った後、残された見物人達は早速それぞれの手段で二人の素性を調べ始めた。ファステアはともかく、舞斗の事はすぐに知れわたるだろう。実際、舞斗は自身のクラスは元より全生徒に名を知られる事となる。
「………」
そんな騒ぎの中、千陽子だけは静かに舞斗達が走り去った方角を見つめていた。
🏁
「おい!ヘルメットはないのか!」
「なんだ舞斗、知らないのか?トライクはそんなモンなくたって大丈夫なんだぞ」
「知ってるわ!風で目が開けられないんだよこのスピード狂が!」
そう舞斗が叫ぶのも無理はない。学校を出発してすぐにハイウェイに入るなり、ファステアは時速百キロを優に超えるスピードで、同じ道を走る車やらトラックやらをごぼう抜きにしていた。
「大体、外出するなら俺のバイクを使えって言ったろ!?」
「冗談!あんな亀みたいなウスノロバイク乗れやしないよ!」
「だからってなあ…」
「あーもうッ、うっさい!」
ファステアはいきなり車線を変えて車体を揺らす。
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