++雨模様++

2/4
前へ
/4ページ
次へ
ぽたぽたと、雨の粒が落ちて来た。 ++雨模様++ しまった、今日は傘が無い。 通学鞄を開き掛けて思い出す。 今日は午後から雨が降る様だよ───、父が出掛けに声を掛けた。 俺に、では無く、そそっかしい弟に向けられた物。 「大丈夫!!降る前には帰って来る!!」 遅刻するから、と父の言葉を振り払おうとした弟の腕を絡め取って、ランドセルの中に折り畳み傘を詰め込む。 その言葉、小学生らしい発想ではあるけどね、 「風邪をひくだろ、」 余計なお世話だ、弟の尖らせた唇が余りにも旨そうで、思わず小さな口付けを落としてしまった。 案の定、弟は可愛い項を見せて、これまでの威勢の良さは何処へやら───、小さくうつ向いて、いってきますも言わず家を出てゆく。 その姿を思い出して───、擽ったさから一人、肩を揺らした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加