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俺は良を構う時、いつも何をか重要な事を忘れてしまう。
其れ程浮かれているって事か、あぁなんて情けない。
───丈夫と健康が取り柄の良平が、雨に降られた位で風邪をひく、なんて俺だって思ってなんかいやしない。
ただ、無条件に良に優しくして遣りたい、いとおしんで遣りたいと───、そう、思うのだ。
彼のゆれる肩や
睫毛、
こころがどうしようもなくいとおしい。
やわらかな春先の雨の様に、彼に触れられれば良いのに、いとおしさばかりが先走って俺は良を壊してしまいそう。
「あ、ま、ちょっと、」
校門をくぐった先、微かな揺れる声と、制服の裾を引っ張る小さな指に呼び止められた。
それはとても意外に思える相手。
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