゚. 君という花 .゚

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  「なぁなぁ、手繋がないの?」   学校に向かって登校を始めた俺と凜に、 漸が唐突にそんな事を言い出した。   「えっ…?」 「な…漸…馬鹿!!ってか何で付いて来るんだ! お前はキリュウ帝国に帰れ!!」   俺はモチロンの事、凜も漸の言葉に照れて赤くなっている。   俺は照れのあまりに、漸に意味不明な言葉まで投げ付ける。     「キリュウ帝国って…キュウリか!」   漸は俺の意味不明な言葉にツッコむが、漸のツッコミは俺よりもっと意味不明だった…。     「…」     見事に白けた。     「うわあ!2人とも赤くなっちゃって! 林檎みたいだ♪」     漸は自分のツッコミで空気が白けた事なんかなかった事のように俺らをからかい始めた。     「漸、うっ…うるせぇ!」 「いやん♪翼君ったらぁ!可愛いね~」     漸は俺を子供扱いして頭を撫でて来た。   一気に立場逆転か…。     さっきまでの白けた空気なんか嘘のように漸は俺をからかいまくる。   全く…調子のいい奴だぜ。     そんな俺と漸のやりとりを、じっと見つめながら、   凜は沈黙した。     「どうした?凜」   俺は心配になって凜の顔を覗き込む。     「翼…私と手繋ぎたくないの?」   凜は寂しそうな顔をしている。     「…は?」 「いや、だって…私と手繋ぐの拒否してるっぽかったから…」   「そんなわけねーだろ!」    凜の言葉に思わず本音がこぼれた。   そんな俺を見て、漸は怪しく口元を歪める。     「カレカノなんだし手繋げって♪」   漸は尚もリクエスト(?)して来た。   何だ、コイツは!!     興味津津な瞳で見つめやがって…   すると…凜の方から手を繋いできた。     「カレカノでしょ?私達」   「あ…あぁ…」     ちょっと…   マズいぜ、これは。     かなり照れる…   ってか凜大胆だってば!   なかなか出来ないぞ… こんな事。     普段は控え目な凜の、新しい一面を見たような気がして、   俺の心の中は幸せな気持ちに支配されていた。  
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