゚. 君という花 .゚

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  「泣かせても平気…って、平気なわけないだろ?まぁ、昨日告白した時に凜泣かせちゃったけど」     俺は昨日の記憶をたどりながら練に言った。     「…ハァ!?お前それでも意地張ったってか!! 凜を泣かせても告ったってか?!」   「凜は嬉しくて泣いてくれてたんだよ!!好きで泣かせたわけじゃない…って…」   「ガキだな!ガキ!! お前…最低だな…」   俺の言葉を遮る練は荒い呼吸をしていた。   …練の言葉の意味が分からない。   モヤモヤした気持ちが俺の心の中にシミを作っていく。     「何が言いてぇんだよ」   「オレ、お前と絶交すっから」     …は?   唐突に練が言った言葉に俺は耳を疑った。   絶交…? 絶交って…   何で…だよ??   考えた事がなかった。   練と絶交するなんて     「何だよ…それ…」   俺は納得いかずに練に掴み掛かる。   「どういう事だよ?!」 「…奪ってんじゃねぇよ」   落ち着きをなくし叫んだ俺に、低い声で練が言った。     “奪ってんじゃねぇよ”     どういう…事…?   俺は頭を鈍器で殴られたみたいに意識がもうろうとして来た。     「もうオレに話しかけんな」   練はそれだけ言い残すと、俺の前から立ち去った。   何だよ… 何なんだよ!!   俺は今自分が置かれた状況がサッパリ分からなかった。   頭の中が混乱して俺は座り込む。   ごちゃごちゃに絡まった思考の中でただ繰り返される練の言葉。     “奪ってんじゃねぇよ”     …何の事だよ?   一体…何が言いたいんだよ、練…。   練が立ち去った後、   その場に残っていたのは嫌な静けさと、心の中のもやだった。            †.゚       それから何分くらい経っただろうか…   俺はふらつきながら立ち上がる。     …世界が崩壊するかと思うくらいのショックだった。     何もした覚えが無かったのに…   何でだ…? 何で“絶交”なんて…   親友のあいつに言われたんだよ…?     「翼!」 「何やってんだよ」     放心状態の俺の頭に飛び込んで来たのは   凜と漸の声…     「凜…漸…」 「翼…?顔色悪いよ?」     凜が俺の顔を覗き込み心配そうに眉をひそめるのが見える。     「お前…足震えてんぞ」   漸が俺の両肩を支えて、俺が倒れないようにしてくれている。     「…っ、教室行っとけっつったろ…阿呆…」   俺はこんな惨めな姿を見られたくなかった…。  
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