゚. 君という花 .゚

10/21
前へ
/103ページ
次へ
  ガラガラ…     ちょっと古くさい扉の向こうには、いつもと変わらぬ教室の風景。   読者しているクラスメイト、   窓際でかたまって談笑しているクラスメイト、   黒板に落書きをしているクラスメイト。     全てがいつも通りだけど。   だけど、ただ1つ違うのは、練と俺が親友じゃなくなったという事。   それは間違い探しの中の見つけにくい違いのように、他のクラスメイトからすれば分かるはずのない事実だった。   俺と練が絶交したのを知っているのは、俺ら自身だけ。     「凜ー!おはよっ」   俺がしんみりした気分になっていると、窓の方から茶髪の少女がこちらに向かってきた。   明らかに染めているとみえるあの髪の色は凜の親友、城島 詩維(じょうじま しい)だ。     「詩維、おはよ」   「おはよ!翼と漸もおはよっ」   「おう、おはよ」     詩維は俺らに挨拶した後、珍しい物でも見るような目付きで俺らを眺めた。   「…何?」   俺の問い掛けに詩維はニッコリ笑って答える。   「いや、漸と翼…なんて、珍しい組み合わせだと思って」   なるほど。 そういう事ね。     「ってゆーか! 凜!何で翼と漸と一緒にいるの?普段は男の子と一緒にいないじゃん?」   詩維は興味津津な瞳で凜を見つめた。     「理由は簡単!凜と翼は付き合ってるからだ♪んで俺はお伴の猿!」   漸がデカい声でそう言った。   かなり意味不明だね。   絶対漸の方が頭壊れてるよね。   …っていうのはツッコむ所じゃなくて!     「漸声デカすぎ!!」   と、俺が注意した頃にはもう時既に遅し。     「うっそ、マジ!?」   「2人とも付き合ってんのー?」   「初耳なんですけど」     クラスメイトが予想通りのリアクションをくれた。   「……あ」   漸が今更になって焦りだす。     「……阿呆」   俺は漸に一言トドメを刺す。  
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加