きみとぼくの朝

2/2
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
 きらきらまぶしい、朝のひかりがぼくらの家にそそぎます。  ぼくはまず、ベッドサイドで鳴りひびいていた目覚まし時計をとめ、のびをしました。気持ちのいい朝です。  寝起きのわるいぼくですが、トーストの焼けるにおいにひかれ、ふらふらと寝室をあとにします。    キッチンからアリスは、ねむたそうに目をこすりながら、おはよう、とぼくに言いました。  フライパンには、オムレツがきれいな形ですわっています。  これはぼくが、本当になにげなく、目玉焼きはすきじゃないんだ、と言ってからなのです。  アリスも、朝は苦手です。けれどこうして、ぼくのために朝ごはんをつくってくれること。たまらなく、うれしくおもうのです。    ぼくはアリスの隣で、ミルクティーをいれます。きみどりとオレンジ、ふたつのカップにそそぎます。  きみどりは、アリスがすきな色です。オレンジは、ぼくのすきな色。  若草のきみどりと、太陽のオレンジだね。いつか、アリスは言いました。  けれどその意味は、もうすこしあとに聞きました。アリスはなんでも、すぐに言わないのです。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!