序章

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「どいて!」 そう叫び、私の静止を振りほどいた彼女は空間に浮かんだ、真っ黒な渦へと飛び込む。 渦は彼女の体を簡単に受け入れた。 「これで全てうまくいく・・・・・・・・あとは、頼んだよ」 そう言いつつも、徐々に渦に飲み込まれていく、彼女。 私はただ、その場に立ち尽くすしかなかった。 「絶対にやらないって言ったじゃない!他に方法を探すって」 必死に涙をこらえ、もう体の半分は渦に飲み込まれた彼女を見据える。 「なのに・・・・・・・何で・・・・・・何で・・・・・・」 そして、拳をにぎり、親友の最後を見届ける事しかできない。 為す術がないとは、何とも腹立たしく、何とも情けない事なんだろう。
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