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二人は勢い良く飛び出し、トイレから出た。
「えつこ!」
「えっちゃん!早く!」
瓦礫の向こうから必死に絵梨に叫ぶ。
しかし、当の絵梨は壁を背にし、鬼の手から逃れる道はなくなっていた。
「そのまま走れ!早く!!」
その声を聞いた二人の目には既にこぼれ落ちそうなほどの涙が溜まっていた。
(もう絵梨は助からない。)
二人とも直感的に感じ取っていた。
「はや…く!」
今度こそ走った。振り向かず流れる涙もそのままに、外へ向かって。
「ぐあ゙あ゙ああぁ!!」
最後に聞いたのは、遠くから聞こえた友の叫び声だった。
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