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 兄はそれから数日間うなされながら悩み続けた。        初めは私もアメリカに同行するのが良いと考えたが、私は兄の様に語学が堪能では無い。        それに日本と違いやはりアメリカ、治安の問題もある。        私達には身内、親戚などいないのだ。        真のおじさん・おばさんがこちらで世話する事とか提案してくれたのだが、兄は丁重に拒んでいた。        そして兄が悩んだ末出した結論はある人物の家に私を預ける、と言うものだった。       『紗衣、これだけは言っておく』   『????』   『アイツは信用して良いが、心は許すな』        意味不明ですけど??         つまり信用出来る良い人、て事だと思う。        ただ兄にとっては良い印象が無いのだろう。       『確かに外見は格好いいが性格に難があるし……』   『大丈夫!私にとって世界で1番大好きなのは昴兄だけだよ』   『さ、紗衣~!!』        私は隠れて舌をペロリと出す。        女は産まれた時から女優ですから♪        さすがに兄がアメリカに飛び立つ日。        少しだけ寂しさが私を揺らした。      
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