黒い影

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「紹介する。 転校生の湖山未知(こやま みち)くんだ。」 担任に紹介されても、転校生は言葉を発することはせず、ただ軽く頭を下げただけだった。 それでもその整った顔立ちに、女子のため息が洩れた。 「…あそこの、佐々木はる香の隣に座って。 学級委員だから、何かあったら佐々木に聞けばいい。」 担任の教師はめんどくさそうにそう言うと、 「はい、じゃぁ朝のHRはおしまい。」 と言って出ていった。 「よろしくな、湖山。」 転校生の後ろの席から、笹森祐貴が声を掛けた。 「はる香は可愛いけど、彼氏がいるから!」 くったくなく笑って話す祐貴に、 「ちょっと!誰もそんなこと聞いてないでしょ!」 と慌ててはる香がツッコんだ。 「ふぅ~ん。」 それまで黙っていた未知が言葉を発したので、はる香と祐貴は少し驚いて未知を見つめた。 「彼氏って?」 「あ、興味ある?」 「ないよ!」 はる香の制止も聞かず、祐貴は話を続ける。 「1組の龍介。名字は…なんだっけ?」 「何でもいいじゃない!今関係ないし!」 はる香は恥ずかしさに顔を赤らめた。
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