最後に見た光

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篤司の恐怖は限りなく限界へ近づいていった。 間違いない。殺される。 その時、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。 その音は救いの音に聞こえたが、限界を超えていた篤司の精神は、サイレンの音によって一気に弾けた。 「助けて!やめて!殺さないで!!」 男はゆっくりと篤司に近づいてきた。 「おまえ、目が覚めてたんだな」 男の声は低く、死神のように思えた。 泣きわめく篤司の恐怖を後押しするように、小太りの男が叫ぶ。 「早くやれ!サツがくるぞ!」 小太りの男に促され、長身の男は、血のべっとり付いた刃物の先端を、篤司に向けた。 篤司はなんとか逃げようと、体を振り動かした。だが手足のガムテープは頑丈に縛ってある。 それでも篤司は激しく動いた。その動きはイスを倒し、篤司は仰向けに倒れてしまった。 長身の男は倒れてもがく篤司の耳元へ近づき小声で言った。 「そんなに生きたいなら、おまえだけ、生かしてやってもいいぞ」 篤司は男の言葉の意味がわからなかった。 男の背後からは、仲間の男の怒号が響く。 早くしろとか、もたもたするなとか、そんな事を言っているようだ。 男は口元の片方をつりあげ、言った。 「これはサービスだ」
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