最後に見た光

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そう言うと長身の男は、仰向けに倒れた篤司の顔めがけて、刃物を振った。 その様はさながら居合抜きのように、横一直線の動きだった。 篤司は一瞬、何が起こったのかわからず、体は全ての動きを止めた。 だが、すぐに感覚は蘇ってきた。 身に起こった事を考える間もなく、激痛という陳腐な言葉では表現できない、恐ろしく鋭利な、そしておぞましい痛みが篤司を襲った。 篤司は声にならない悲鳴をあげ続ける。 痛いという感覚を通り超した、未体験の恐怖だった。 男たちは近づくサイレンの音に追われるように、外に停めてあった車で逃げていく。 エンジンの音が高級住宅街を走り抜けていったが、篤司の耳には自分の悲鳴しか聞こえなかった。 自分がどうなったのかわからない。 目のあたりが溶けるように熱い。 何も見えない、何も考えられない。 ただ1つ、はっきり覚えている。 篤司が最後に見たのは、眼前まで迫りくる、月夜の光を反射し輝く 刃物の先端だった。
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