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───…
「未来から来ただと?」
馬鹿にするように言い返すカインを尻目に、セフィは真剣な目付きで彼を見つめる。
すると今まで黙っていた後ろの短髪の男が口を開いた。
「嘘ならもう少しマシな嘘を付けよな…」
「嘘じゃねぇって!!」
必死に言い返すものの、そんな簡単に信じられる話ではないことはわかっていた。
言い張ってはいるが、そう思わないと何故自分がこんな所に居るのか分からないから。
夢でないなら考えられることはただ一つ、タイムトラベル。
無言の沈黙が暫く続いたあと、階段の上から声が聞こえた。
「カイン、着いたよ!」
「あぁ、やーっと着いたか…」
カインは小さく呟くと、セフィをチラリと横目で見る。
「レイ…コイツも一緒に降ろせ」
レイとはこの短髪の男の名前のようだ。
酒♪酒♪と浮かれてたレイは「俺!?」と不満そうに見つめる。
しかしカインの睨みに負けたのか、渋々と牢屋を開けた。
「…何処に着いたんだ?」
眉を潜め、レイという男に尋ねるセフィ。
彼は先程までの呆れた表情ではなく、ニィと緩い笑みを見せながら答えた。
「リクイアだ!」
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