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──ダンッ!
辺りに銃声が響く。
…撃った。
予想外だったのか辺りの船員たちは唖然としていた。
カインでさえ本当に撃つとは思わなかったのか、咄嗟に腰にある刀に手をかけていた。
だが銃口を向けられたカインは全くの無傷。
逸れた様子もない。
つまり空砲であったわけだ。
カインと船員たちは訳が分からないといった表情で、ただ呆然とセフィを見つめていた。
「…故障中なんだよね、これ」
彼女はしてやったり、と言うようにニヤリと笑い、銃から銃弾を取り出しながら彼らを見る。
始めにも書いたがセフィは大の海賊好きだ。
そのため元の世界では、レア物を探したり手入れするのが趣味となっていた。
この世界に辿り着く前、友だちと遊びに行かなかったのは銃を治しに、とある店へ行くためだったから。
少しの沈黙が続いた後、カインの後ろに居た船員の1人がクスクスと笑い出した。
瞬時に全員の目線がその男に向けられる。
「良いじゃないか、カイン。僕はこの子気に入ったよ?」
面白いじゃないか、と付け足しながらニッコリと微笑む彼は海賊とはとても思えないような人だった。
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